2017.05.11 #Report

「好きなことで起業する、日本初のオーガニック・ガーデンキュレーター小島理恵に学ぶ、自分らしい働き方」レポート[前編]

小島理恵(オーガニック・ガーデンキュレーター)

“笑顔をつくる”Bizプロセミナー@勉強カフェ vol.2
4月7日(金)、勉強カフェ 溝の口スタジオにて、日本初のオーガニック・ガーデンキュレーターとして活躍する小島理恵さんに、自分の好きなことを追求し、自分らしい働き方、想いを実現する方法をお聞きするセミナーが開催されました。

「好きなことで起業する、日本初のオーガニック・ガーデンキュレーター小島理恵に学ぶ、自分らしい働き方」レポート[後編]


ガーデンキュレーターという仕事




日本で馴染みのない「ガーデンキュレーター」という肩書ですが、アメリカなどではちゃんとそういう役割の方がいて、デザインや設計を行うガーデンデザイナー、設計図を元に庭を造っていく施工業者、植物の管理を行う管理業者と、分業されている作業全体を管理し、メンテナンスも含め、理想的な庭造りをトータルでサポートしています。

私が考える理想のガーデンは「植物が主役」なので、植物がちゃんとバランスよく育っていないと、ガーデンとして完成しなんです。それにはデザインから竣工後の管理までトータルで対応する必要があるんですよね、その職業がないのであれば、私がやろうかなと思ってはじめました。


ガーデンづくりについて


例えば、デザイナーが描いた設計図通りに施工しようと思っても、現場では色々なことが起こります。実際に掘ってみたら、配管があって植物を植えられなかったり、この位置に高さ3m葉張り1.5mの木ということで〇印が描いてあっても、植物は生き物なので、規格通りのサイズでくるとは限らない。そういったことを、現場で調整する必要があって、自然と現場に出ていくようになりました。

また、建築では、客様に物件を引き渡したら仕事が終わりですが、お庭の場合は引き渡してから、植物が生育していくので、竣工時に完成形としてつくってしまうと、植物が込み合い過ぎてバランスが悪くなってしまうし、かえって生育も悪くなってしまいます。だから、弊社の場合は、3年後~5年後に完成形になるよう、適正な空間をとって植栽し、そこから時間をかけて手入れをしながら、形やバランスを整えていくというやり方でガーデンづくりをしています。


オーガニックな庭造り




造園業界って、「環境に良いことをしている」イメージがあると思いますが、実際は農業よりも農薬に関する制限がゆるく、農薬や化学肥料をわりと自由に使っていて、街路樹や小学校なんかでも化学農薬が散布されたりもしています。それに関して、全てが悪いということはないんですが、やはり、生物環境に対して良くないことも多いということと、自分自身も浴びてしまうと本当に気持ち悪くなってしまうんですよね。そんなことから、化学農薬を極力使わないで緑地管理ができないか?ということを考え始めました。

大切なのは植物を健康に育てること。10年前くらいから色々チャレンジをして、「この虫が出たからこの殺虫剤で殺します」という、対症療法的なことではなく、有機農法に使う生薬をブレンドした薬剤などを駆使し、病気や虫を未然に防ぐよう適正に管理をする、という方法を確立させました。


独立までの道のり


私は、信州大学農学部森林科学科出身で、森林に関する勉強をしていて、実は、卒業後は造園会社以外の就職先を望んでいました。その頃は、リゾート開発が盛んなバブル末期で、山を切り開いてゴルフ場を作って除草剤をいっぱい撒いて・・・ということがあちこちで行われていたんですね。そんな造園会社には「絶対に就職したくない」って思っていたのですが、就職活動の年にバブルが弾けちゃって、結局、研究室の教授に、造園会社に無理やりねじ込んでいただいて、社会人となりました。

その頃、「ガーデニング」という言葉が広がり始めてはいたのですが、造園業界では女性は珍しい時代でした。それから、例えば、お客様から「バラを植えたい」というご要望があっても、従来の職人はよくわからないから、「ウチではできないんで、自分で買って植えてください」って言っているような時代だったんですよ。
「そんなの、買ってきて植えてあげればいいのに」とか、「私だったらもっと素敵な提案が出来るのに」と思うことも多くて、会社の中でそれが実現できら良かったんですけど、まだそういうこともなかなか難しくて、辞めて自分でやった方がいいかなと思ったのが、独立のきっかけでした。

その後、会社員時代の先輩と会社を立ち上げ、個人邸のお庭の仕事を初めて受け、植栽管理も引き続きやらせていただいて、お客様と長くゆっくりお付き合いができる、こういう仕事ってすごくいいなと思いました。
その管理の仕事では、最初のころは、化学農薬を使っていたのですが、「やはり、使わない方がいいな」と思い、試行錯誤し始めました。そこで、ある程度、手ごたえは感じつつあったのですが、色々なことがあって、2008年秋に独立、2011年春に株式会社Q-GARDENを設立しました。

もともと、学生時代から、日本の森林をどうすれば良くすることができるのか?ということをずっと考えていました。なので、造園の仕事をしつつも、山を良くする仕事もできたらいいなとずっと思っていたので、「里山BONSAI」プロジェクトに声をかけていただいた時はうれしかったですね。(一昨年から始めた、里山の生態系の保全・在来種の保護・間伐材利用の促進・障がい者雇用の促進等を同時に進めるプロジェクト)

ここまでくるのに20年くらいかかってしまいました。


自分が好きなことを最初から分かっている人はほとんどいない




私自身、造園の仕事がやりたくてこの業界に入った訳ではないので、「好きなことで起業する」というセミナータイトルにはなっていますが、本当に好きなことで起業したのかな?と思ったりして。
「好きなこと」=「したいこと」とは限らないですよね。
でも、好きなことも、したいことも、やってみないと分からないじゃないですか。

私自身、最初の会社員を辞めたころは、「ガーデンデザイナー」という業界ではスター的な方々に憧れて、「自分もそうなりたい!」と思っていたのですが、実際やってみたら、自分自身は図面を描くのも苦手だし、見積りとか面積なんかの計算も苦手で、もう苦痛でしょうがなくて…。現場で植物や土をいじっているのが一番好きなのだなというのが判ったんです。
だから、「これやりたい!」って思い描いていても、やってみたら違うなんてことも、よくあることなんじゃないかと思います。

熱中している仕事に、リスクはない


神田昌典さんの言葉ですが、これは本当にそうだなと思います。

10000時間何かに打ち込むと、一人前になれるという「10000時間の法則」と言われるものがありますが、ゆっくりやると10年かかるけど、すごく頑張ると3年くらいで達成できちゃう。そうやって、いち早く達成するには、好きとか憧れより、寝る間も忘れて熱中できる、何時間やっても全然疲れないみたいなことをやった方が近道だし、自分の特技になって、他の人より優位に立てる可能性が高いんじゃないかと思います。だから、夢中になれることをやった方がいい。


後編では、「独立して大切だった3つのこと」、「最近意識していること、これから意識しなければいけないと思っていること」を掲載。

「好きなことで起業する、日本初のオーガニック・ガーデンキュレーター小島理恵に学ぶ、自分らしい働き方」レポート[後編]



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